2022-01-01から1年間の記事一覧
2022年も終わりということで、この半年に読んだ本のなかから良かったものを、フィクションから5冊、ノンフィクションから5冊選んでいます。 「知ればきっと元気が出る」 フィクション リチャード・パワーズ『惑う星』(訳・木原善彦、新潮社) リチャード…
今年に入ってからブログのサイドバーのところに、近況みたいなものをだらっと書いていました(ブラウザ版のみ読める)。Twitterは字数制限があるし、ブログはしっかり書かなきゃみたいな意識があって、そのあいだくらいの感じで。アーカイブしないって最初に…
リチャード・パワーズの新刊、『惑う星』(訳・木原善彦、新潮社)を読んだ。 冒頭の1段落目はこんな風。 でも、僕らがそれを見つけるのは無理かもしれないってこと?私たちはテラスに望遠鏡を設置していた。晴れた秋の夜、アメリカ合衆国東部に残された最…
ウォルター・アイザックソンの新刊がでたので早速読んだ。『コード・ブレーカー 生命科学革命と人類の未来 』(訳・西村美佐子、野中香方子、文藝春秋)、上下巻。 ノーベル化学賞をとったジェニファー・ダウドナを主人公に、ゲノム編集技術を中心とした生命…
「好奇心が大事になってきますね」みたいな話のシメってたまにあるけど、じっさいのところ、好奇心がどういうものなのかよくわからない。いい意味でもわるい意味でも使われるし、育むことができるのかも気になる。 イアン・レズリー『子どもは40000回質問す…
スティーブ・ジョブズの公式の評伝で知られる、作家ウォルター・アイザックソン。ジョブズの次の本では、コンピュータとネットワークの開発史をテーマとしている。『イノベーターズ 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史』(訳・井口資仁、講談社…
唐突に小説のオールタイムベストを書き残したくなった。いつか見返したときに楽しそうなので。さっそく考え始めたが、しばりがないとどうにも決まらないので、作家1人につき1冊にする。順不同。 リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』(訳・柴…
いつのまにかWordleが日課になっていた。ふだんスマホゲームをしないのに、めずらしく長く続いていて、もう200日以上になる。この程よく続けられる感じはなんだろうと思いをめぐらすうちに、習慣についていろいろ考えたので書いてみる。 Wordleのプレイ画面 …
里見香奈女流が棋士編入試験への挑戦を決めた。プロとの対局で好成績をおさめて規定を満たし、この8月から新四段5名との試験対局がはじまる。5局中3勝することができれば、女性初のプロ棋士の誕生ということで注目が集まっている。将棋界でプロになるに…
2022年の上半期に読んだ本から10冊選んでみます。フィクションから5冊、ノンフィクションから5冊。読み終えた本は70冊ほどでいつも通りですが、面白そうな本が次々とあらわれるので、買うペースだけが早まっています。 真ん中の本が分厚いなー フィク…
今年のゴールデンウィークはどこかへでかけることもなく、1冊の本をじっくりと読んでいた。リチャード・パワーズ『黄金虫変奏曲』(訳/森慎一郎、若島正 みすず書房)。待ちに待った日本語訳の刊行。850ページ二段組のボリュームにどっぷりとつかる、稀有…
社会学者のエリック・クリネンバーグ『集まる場所が必要だ――孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学』(訳・藤原朝子、英治出版)を読んだ。コロナ以降、一か所に集まらないで働いたり、人と話したりということが増えた。集まることの意味はどれだ…
マイケル・ポーラン『欲望の植物誌――人をあやつる4つの植物』(訳・西田佐知子、八坂書房)の副題が気になって読み始める。植物が「人をあやつる」ってどういうことだろう?人が植物を育てているのであって、それは逆だろうという直感にひっかかる。 この本…
順位戦が佳境を迎えている。藤井竜王はあと1勝でA級に昇級となる。順調に勝ち上がれば、最年少名人の可能性も残していて目が離せない。最終局を前に、A級を29期守った羽生善治九段の降級が決まった。去年もあやうくというところだったので、いつかそう…
年末年始に読んだ本のことを書いてみる。 ひとつは小説、葉真中顕『灼熱』(新潮社)。舞台は第二次世界大戦期のブラジル日本人殖民地。2人の少年の人生を中心に、戦場から離れた地での混乱を描く。トキオはブラジルで地主の子供として生まれ、村で指導的な…