昨年に出版された仁科芳雄の伝記、伊藤憲二『励起』のオンライン合評会というイベントがあった。とてもおもしろく読んだ本だったので参加してみることに。参加者は50名ほど。著者による本の概要紹介、4名の研究者からのコメント・質疑、それに対する著者の応答という流れで進む。有賀暢迪さんのコメントにとりわけ興味をひかれた。研究者資料アーカイブスの観点から、この本は今後の伝記のモデルになるかもしれないとしたうえで、『励起』という本が実現するための環境を問う。そこには書簡集の出版など、業務上の文章が多数残されているという条件があるだろうと。だとすると、同じように書ける日本人科学者はいるだろうか?湯川秀樹くらい、というのが応答だった。もしこの路線の伝記が実現したらぜひ読んでみたい。◆3/10