雑記2023

今年もブログのサイドバーのところに書いていた文をまとめておきます。今年もいろいろありました。

 

ずっと気になっていた文学フリマにようやく行けた。文学フリマ京都、会場はみやこめっせ。昨日ホームページを見ながら、回りたいところをチェックした。それから会場設営のボランティアを募集していた。暇だったので朝から参加してみる。集合場所に行くと、やることが書かれた紙と軍手をもらい会場に入る。30人くらいいた気がする。指示を聞きながら、机を並べて、椅子をおいて、各ブースの荷物を仕分けていく。全部で1時間強くらい。けっこう汗をかいた。◆開場まで外で待って、再び中へ。人の入りは多すぎず、少なすぎずという感じ。BABEL ZINE、烽火書房、Kaguya Books、京大推理研で買い物。少し話もできて楽しかった。あれどのくらい話していいものか迷う。たくさん買ったので読むのが楽しみ。また来年。◆1/15
 
 
京都市にめずらしいほどの雪が積もり、仕事が休みになった日、目黒孝二さんの訃報を知った。目黒さんの名前を耳にしたのは中学生のころ、Tokyo FMのラジオ番組Suntory Saturday Waiting Bar AVANTIでのこと。バーの常連の話を盗み聞きするというスタイルのラジオで、目黒さんの紹介する本と語り口がおもしろかった。いまでもラジオの理想形だと思う。◆書評家・北上次郎さんを知ったのは、大学のころだったと思う。書評、解説や帯文で何度も出会う。少したって、2人が同じ人だと知って驚いた。◆『黒と誠』の第1巻を昨年末に読み、度を越した本好きの生き方を見た。こういう人のおかげでいまの読書文化があるのだろう。◆1/28

 

 
ネットフリックスに出入りを繰り返している。見たいものがたまったら入ってまた出る。ずっと入っているといつでも見れるなぁと思ってしまうので。今回は『ちひろさん』と『舞妓さんちのまかないさん』を目当てに。◆『舞妓さんちのまかないさん』、何から何まで素晴らしい。主人公の2人は、舞妓になるために青森から京都祇園へ来た。住み込みで下働きと稽古を始めてから1年間の物語。ひとりは舞妓をあきらめ、「まかないさん」になって料理をふるまう。劇的なことが起きるわけでなく、日常を丁寧にみせる演出がすみずみにまで行き届いている。笑いどころも多い。とりわけ松岡茉優常盤貴子の演技が絶妙。何回も見たい。◆2/27
 
 
祝日をつなげた4連休で小豆島旅行に行ってきた。きっかけは竹内早希子『巨大おけを絶やすな!』(岩波ジュニア新書)。 小豆島にあるヤマロク醬油の職人を取材したノンフィクション。木桶でつくる醬油が少なくなって、桶の作り手がいなくなってしまう危機を迎える。醬油職人が桶屋に弟子入りし、自分たちで桶づくりの技術を継承した。木と竹だけで100年以上も使える木桶をつくる。タイムスケールの大きさと楽しんでいる姿勢に魅了された。◆ヤマロク醬油では桶の見学ができる。暗い蔵のなかに入ると、醬油の濃厚なにおいに包まれた。人の背よりも高い巨大おけがいくつも並び、近代的な工場とは違う種類の迫力があった。いろいろ試食もできる。観光客でにぎわっていたり、若手の人も多くいたりと伝統的な産業の良いあり方を見た気がした。◆3/26
 
 
GW。久しぶりに会った弟が本を買っていた。テッド・チャンあなたの人生の物語』、アーサー・C・クラーク幼年期の終わり』。ふだんそんなにSFを読んでなさそうだったので聞いてみると、ちょっと前に読んだアンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が良かったので、とのこと。間違いなくおもしろかったけど、けっこうボリュームがあったりもしたので、そこまで届いているんだなぁと感心した。同じ路線で『火星の人』もいいと思うよ、と言ったら、『プロジェクト~』のほうがおもしろいという評判だったので別の作家へ、ということらしい。そこのジャッジは厳しい。◆5/7
 
 
住んでいるところからそう遠くない場所に、貸棚形式の本屋がオープンした。いろんな人が棚を借りて、それぞれ好きなように本を並べて売っているというスタイル。気になっていたので早速行ってみた。まだ空いている棚も多いが、人の本棚を眺める気持ちで楽しめる空間だった。欲しかった雑誌のバックナンバーを見つけて買った。◆それで自分も棚を借りてみることにした。理由はいくつかある。本屋を応援したい。好きな本が読まれてほしい。新しい発見、出会いの期待。などなど。ある程度継続して棚の変化を見ていくおもしろさもありそう。◆5/30
 
 
喫茶FRONTは家から少し離れたところにある。24時まで営業しているレアな喫茶店で、気になっていたので行ってみた。夜ランチというメニューがあり、2種から選ぶメインディッシュとおばんざいが3つ、サラダとライス。それとノンカフェインのブレンドティーを注文する。砂時計とともにポットがでてくるタイプ。注文したらしばし本を読んで、食事が来たら食べる。食後にブレンドティーを飲みながら、また本を読む。家で本を読もうとすると眠くなってしまうことが多いのだけど、ここではそんなこともなく。けっこう集中できたのは、環境によるところが大きい。椅子の硬さ、混み具合、照明、音楽どれもがちょうどいい。店員さんの対応もよい。店に入ったとき、「何名様ですか? 」と聞かずに「お好きな席にどうぞ」と言うこと。客が帰ったあと、椅子に座ってゆっくりと机を片付けること。 とてもいい場所を見つけた。◆6/23
 
 
多肉植物のユーフォルビア・オベサを買った。暗めの緑色で丸っこい。小籠包くらいのサイズ感。なんか植物が欲しいなと思ってから、だいぶ時間が経った。最初のきっかけは、アニメ『響け!ユーフォニアム』。主人公の部屋にあるのが、おそらくユーフォルビア。ユーフォだし。それを見ていいなってなって、時々売り場で探していたけど見つけられず。去年、千葉雅也『現代思想入門』を読んでいて、植物の話がでてきたところで、そういえばと思い出したりした。そしてこのたび友人の薦めもあり、ちゃんとした店に行くとオベサが見つかった。4000円くらい。鉢で植物を買うのは初めて。調べたところ育てるのはやや難しめらしい。どうなるか。不安でもあり楽しみでもある。◆7/25
 
 
英語で短編小説を読む会に参加している。A4で4ページほどの短編を毎回読んで、各回の担当者と先生のやりとりを聞くという感じで、いま第2回まで終わった。もともと英語はそんなに得意ではなく、近しい分野の論文とかは読めるけど、一般の記事はやや難しくて、小説になるとさらに難しいくらいのイメージでいた。ただ小説を英語で読みたいという気持ちはあった。最近は読みにくい翻訳書に出会うことはあまりないのだけど、やはり原文のニュアンスをそのままに感じたいというのと、翻訳がでていない本も読みたいので。いまのところの感触だと、思ったよりも読めていてほっとしている。分量的に読みやすいのと、題材がおもしろいというのが大きい。◆8/28
 
 
今年も京都モダン建築祭へ。昨年は見ていない七条エリアを歩く。龍谷大学本願寺の施設などを見学する。仏教的なものとモダンなものが混ざった空間。中に入ると独特の緊張感がただよう。荘厳な感じがするというか。建築にはそういう効果があって、それは身をおいてみないとわからない。◆元淳風小学校は、2016年に147年間の歴史に幕を下ろした。まだ当時の状態で残っている。こういうところに入れるのがこのイベントの醍醐味。なんどもその前の道を通り過ぎているが、中にこんな風景が広がっているとは驚いた。まず土足で入ることができて、各部屋のまえに脱ぐ場所があったりする。床の木材に歴史を感じる。いやドアに、ガラスに、天井に、黒板に、机に、蛇口に、配線に。なにもかもに歴史がある。おもしろすぎる。撮影禁止だったので、じっくりと見ることに集中する。ゆっくりと歩いた。◆11/4
 
 
毎週聞いていたPodcastの休止が発表された。「いんよう!」という番組で、生命科学や医療を中心にサイエンスからサイエンス・コミュニケーション、アニメその他コンテンツの話をしている。もう5年ほど通勤時の楽しみになっていた。専門的なところは理解が追いつかないことも多かったが、語り方をふくめて興味をのもてる話ばかり。お二人の話を隣の席で聞いているくらいの距離感が心地よく、Podcastの理想形だった。まだエピソードは公開されているので、もう1回最初から聞いていこうと思う。◆12/17
 
 
楠谷佑『案山子の村の殺人』(東京創元社)の読書会で、「読者への挑戦状」まで読んできて集まった。「挑戦状」はミステリの趣向で、小説の途中におかれている。そこまでが問題編、それ以降が解決編となり、問題編の情報をもとに読者に謎解きを求める。本気でやってみようと思って、メモをとりながら一読。2周目で人物と物の移動、雪などのタイムテーブルをつくりながら、すでに明らかになった謎と残った謎を分けた。3周目で犯人を絞り込もうと思っていたが、絞り込めないまま読書会の時間がきてしまった。みんな絞り込めていなかったので、あれこれ疑問を話しながら先を読む。解決編には見事にしてやられた。事実関係をはっきり理解できていたので、そのぶん楽しむことができた。またやりたい。◆12/23
 
 

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