2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年下半期に読んだ本ベスト10

2023年も終わりが近づいてきたので、下半期に読んだ本のなかから良かったものを10冊選んでみました。ノンフィクション5冊、フィクション5冊です。*1 全体的に分厚いノンフィクションを読んでいる時間が長くて、小説はやや少なめでした。 ノンフィクショ…

雑記2023

今年もブログのサイドバーのところに書いていた文をまとめておきます。今年もいろいろありました。 " data-en-clipboard="true">ずっと気になっていた文学フリマにようやく行けた。文学フリマ京都、会場はみやこめっせ。昨日ホームページを見ながら、回りた…

沢木耕太郎ノンフィクションⅦ『1960』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉第Ⅶ巻は社会/長篇。1960年をテーマにした2作を収録している。どちらも傑作。 「危機の宰相」 「テロルの決算」 「危機の宰相」 初出:「文藝春秋」1977年7月号 1960年、岸のあとに首相になった池田勇人が「所得倍増」を掲げ…

伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』

ここのところずっと伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』(みすず書房)を読んでいた。2段組1000ページで、内容も重厚なノンフィクション。しっかり集中できる時間にしぼって読み進めていたら、2か月ほど経っていた。せっかくなのでメモを残してお…

沢木耕太郎ノンフィクションⅥ 『男と女』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉6巻は、人物/長篇として4作が収められている。長篇としては「檀」と「無名」の2本立てで読みごたえがある。また「檀」にまつわる短めの文章が2つ付されている。長篇2作はまったく別の人物を描いているが、亡くなった人…

沢木耕太郎ノンフィクションⅤ『かつて白い海で戦った』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉の第Ⅴ巻はスポーツ/長篇と題して、「クレイになれなかった男」、「一瞬の夏」、「リア」の3作を収録。1本の長篇とその前後の短めのエピソードといった構成で、ひとりのボクサーと共に走り続けた濃密な記録になっている。年…

将棋ノンフィクションを読む08――『盤上のパラダイス』、『人生の棋譜 この一局』

藤井聡太の快進撃がつづいている。今年に入って名人位も奪取し、8つあるタイトルのうち7つをもっている。残るひとつ王座への挑戦も決めて、史上初の八冠となるか注目されている。そんな無類の強さをみせる藤井七冠は、詰将棋好きとしても知られている。詰…

2023年上半期に読んだ本ベスト10

上半期に読んだ本から10冊選びました。ノンフィクションから5冊、フィクションから5冊です。今期は海外文学の読書量が少なめだったかも。今年に入ってから少しずつ読んでいる〈沢木耕太郎ノンフィクション〉シリーズを入れると大変なので、それは別枠と…

沢木耕太郎ノンフィクションⅣ 『オン・ザ・ボーダー』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉シリーズの4巻目。紀行/短篇で10作を収録している。短篇といっても読み応えのあるものばかり。オン・ザ・ボーダーのタイトル通りで、日本の国境付近あるいは海外の紀行文が並んでいる。その時、その場所だからこそ書かれ…

呉明益『眠りの航路』

「近ごろよく考えるんです。自分の父親がどうやって自分の夢に向き合っていたのか。でも、想像できないんです。ぼくにとって戦争は本当に遠くて、ぼんやりとしているから」(p.231) 呉明益の長編デビュー作『眠りの航路』(訳・倉本知明、白水社エクス・リブ…

沢木耕太郎ノンフィクションⅢ『時の廃墟』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉の第3巻は社会/短篇というテーマで11作を収録。これまでの2巻では、ある1人の人物に迫るものがほとんどだったが、この巻では社会、すなわち集団としての人物を描いている。各作品のタイトルもそれを反映しているが、全…

沢木耕太郎ノンフィクションⅡ『有名であれ 無名であれ』

〈沢木耕太郎ノンフィクション〉の第Ⅱ巻。人物/短編というテーマで18作を収録している。前半の11作は「若き実力者たち」という連載から。当時24才の著者が、同世代の活躍している人を取材した。後半には個別に書かれた文章が並ぶ。前半と後半の間に1年の空…

将棋ノンフィクションを読む07――『棋士とAIはどう戦ってきたか』、『うつ病九段』

藤井聡太竜王がタイトル6冠へ挑戦している。プロ入りが2016年10月で、プロデビュー直後の連勝からこの6年間、話題になり続けている。ちょうど藤井聡太がデビューしたころの将棋界について、藤井ブームとは別の視点で書いている2冊を読んだ。 まずは、松本…

沢木耕太郎ノンフィクションⅠ『激しく倒れよ』

文藝春秋80周年記念で編まれた沢木耕太郎の作品集がある、ということを知ったのは去年の秋だった。もう20年前の企画ではあるけれど、今年はこれを読んでいきたい。というのも、去年いくつかの本を読んで、文章の魅力にやられてしまい、これはどんなもの…