2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年下半期に読んだ本ベスト10

ノンフィクション5冊、フィクション5冊で選びました。 ノンフィクション アンドリュー”バニー”ファン『ハードウェア・ハッカー 新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』(訳/高須正和 監訳/山形浩生 技術評論社) 電子デバイスを使う機会はどんどん増えてい…

エコーチャンバーの外へ~『#リパブリック』、『江戸の読書会』

最近、「有名」がわからない。自分が有名だと思ったものでも、周りは知らないことが普通にあり、同じくらいその逆もある。SNS以降だろうか、きっと違うクラスターにいるってことなんだろう。同じ本を読んでる人にもめったに会わない。だからこそ、出会ったと…

ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス——テクノロジーとサピエンスの未来』& 合わせて読みたい本

なぜ人類は地球を支配するにいたったのか。歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリいわく、認知革命によって宗教、貨幣、国家などの虚構を共有し、柔軟に協力できるようになったからだ。そんな虚構を軸にした人類史、それが『サピエンス全史』だった。では、これ…

小川哲「最後の不良」、ヒース&ポター『反逆の神話』

小川哲の短編「最後の不良」を読んだ。『年刊SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』(創元SF文庫)収録。初出は、雑誌〈Pen〉のSF特集。 どんな小説か 物語の舞台は、MLS(ミニマル・ライフスタイル)社が起こしたムーブメントによって流行がなくなった世界…

伊藤亜紗『どもる体』

はじめに しゃべることがあまり得意ではない僕は、『どもる体』の序章を読んでいて、ハッとした。しゃべるときの体や各器官の動きについて語られていて、しゃべること=言葉選びという等式をつくってしまっていたことに気づいたからだ。当たり前すぎて見落と…

2018年上半期に読んだ本ベスト10

2018年の上半期を振り返り、読んだ本からベスト10を選んでみた。フィクションとノンフィクションの2つに分けて、それぞれ5冊ずつ。 フィクション 樋口恭介『構造素子』 第5回ハヤカワSFコンテスト大賞のデビュー作。作家と物語、親と子、人類と人工知能の…

「知らないこと」と向き合う~『知ってるつもり 無知の科学』、『知の果てへの旅』

どんどん便利になっていく世の中、自動化が進み、いろんなことが簡単にできる。便利なものに囲まれる生活の中で、身近なもののしくみをどれだけ知っているだろうか、と考えてみる。たとえば、水洗トイレで水が流れる原理は?、と。 トイレは毎日のように使っ…

MCバトルと漫才

MCバトルのテレビ番組「フリースタイルダンジョン」をずっと見ている。始まってからもう2年半になる。MCバトルとは、即興のラップバトルのこと。とても中毒性が高く、毎週楽しみにしている番組だ。 いまとなっては普通に見てしまっているが、最初に見た時の…

新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

毎日のようにAIがニュースになる。身近なデバイスへの導入、技術のブレイクスルー、法律の整備などなど、その観点もさまざまである。その中でも、AIによって人間の仕事が奪われるのではないかという懸念をよく目にする。関連書も多い中で、他とは違う視点を…

『バッタを倒しにアフリカへ』、『フンボルトの冒険』

研究者のノンフィクションを2冊読んだ。どちらもフィールドワークという共通点があるが、ひとつは現代、もうひとつは19世紀が舞台となる。冒険や自然との格闘、時代ごとの研究の背景など、並べて考えてみるのもおもしろい。 前野ウルド浩太郎『バッタを倒…

『トラクターの世界史』と『団地団』

高校までの歴史の授業が苦手だった。なんとなく、つかみづらい。いまから振り返ると、その原因は授業の内容が政治史を重視で、その政治にあまり興味がもてなかったということが大きい。 歴史は、政治以外のさまざまなものからも語ることができる。たとえば、…