ブログのサイドバーのところに書いていた短文をまとめておきます。ちょこちょこ書いていたものを並べると、一気に書くのとはまた違って、時間経過がみえるので不思議な感じがします。1年は早いですね。
古典といわれるものがそろそろおもしろく読めるかもしれない。あるいはちゃんと読んでおきたい。そんな気分になってきた。去年の暮れあたりから、本屋でよく岩波文庫を手に取るようになっていた。それでこの前古本屋を見ていたら、岩波文庫の解説総目録というものがあったので買ってみた。やや古いものだが、当時までに出版された約5000冊の書誌データと短めの解説文がついている。これはいい。家にいても本屋で背表紙を眺めているようで愉快だ。◆解説目録といえば、光文社古典新訳文庫と光文社未来ライブラリーのものも先日入手した。ネットで知ってすぐに取り寄せた。ちょっとした目録ブームが来ている。◆1/31
礒井純充『「まちライブラリー」の研究』(みすず書房)で、私設図書館のような空間をつくることについての事例を読んでいた。そのなかでイベントとして、参加者に本を持参してもらい、自己紹介代わりに本を紹介してもらうようにしたら、話しやすくて好評だったという話があった。立場に関係なく、フラットに考えていることを共有しやすいとのこと。これは自分もやったことがあって、すごくわかる。そもそも自己紹介が苦手ということもあるが、好きな本についてのほうが話しやすいそれに本の紹介は自然と自己紹介になるところがある。どんな本を選んで、どのように紹介するのかに個性があらわれてしまう。そんなふうにして、相手と正面から向き合うというより、まずは同じものを一緒に見るという心もちがちょうどいいのかもしれない。◆2/29
昨年に出版された仁科芳雄の伝記、伊藤憲二『励起』のオンライン合評会というイベントがあった。とてもおもしろく読んだ本だったので参加してみることに。参加者は50名ほど。著者による本の概要紹介、4名の研究者からのコメント・質疑、それに対する著者の応答という流れで進む。有賀暢迪さんのコメントにとりわけ興味をひかれた。研究者資料アーカイブスの観点から、この本は今後の伝記のモデルになるかもしれないとしたうえで、『励起』という本が実現するための環境を問う。そこには書簡集の出版など、業務上の文章が多数残されているという条件があるだろうと。だとすると、同じように書ける日本人科学者はいるだろうか?湯川秀樹くらい、というのが応答だった。もしこの路線の伝記が実現したらぜひ読んでみたい。◆3/10
〈沢木耕太郎ノンフィクション〉という全9巻の傑作選のようなシリーズを見つけて、これを読んでいこうと決めたのは2023年の初め。1年くらいでいけるかなと思っていたが、結局1年と4か月かかって読み終えた。総じて面白く、収録作すべてになんらかの感想を残して、それぞれの巻ごとにブログを書いた。完全な客観に立たず、取材対象と書き手自身の物語をつくるところに良さがある。もともと集中した作家読みをあんまりしないので、ひとりの文章をこんなにまとめて読むのはめずらしい。去年だけで4000ページくらい沢木耕太郎の文を浴びた。それでもまだまだ読みたい。書いた文章をすべて読みたいくらいの気持ちになっている。◆4/30
ブログの記事が100件になった。ほぼ月に1回更新していて、始めてから7年以上たっている。まさかこんなに続くとは思わなかった。というのも、もともと文章が書くのが苦手で、作文とかの課題があるたびに困っていた。考えることは嫌いじゃなかったけど、文章にするというのがどうにも。いま思うと、デジタルで書くようになったのが大きい。原稿用紙と鉛筆だと、まとまらないと書き出せない。書きだすと別の考えが浮かび、直したくなって全部消す、みたいなことばかりで、いやになってしまったところがある。デジタルで修正が楽になったことで、書きながら考えるところのおもしろさが残ったという感じ。◆6/8
中村明『文章作法事典』(講談社学術文庫)をめくっていたら、「現写法」という項目が目にとまった。現写法とは、過去の出来事を書くときに、ふつう過去形で表現するところをあえて現在形にする。すると、いま目の前で起きているような臨場感を生み出すことができる。初めて知った言葉だったが、少し前に紀行文のような文章を書いているときに、まさにこのことを考えていた。どうしても現在形にしたくなるところがでてきて迷った。といっても、そんなちゃんとした話ではなく、ずっと過去形が続くとなんか退屈だな、くらいの感覚で。このところ読んでいた沢木耕太郎の文章は、そのあたりの加減が絶妙だということもあらためて気づいた。◆7/13
はてなブログを有料プランにしてみた。広告を非表示にできると読みやすくなっていいかも、というくらいの理由。登録して8年くらいになるが、まさかこんなに続くとは思っていなかった。インフラのありがたみを感じるので、いまさらながら応援の意もふくめて。◆松岡正剛が亡くなった。このサイドバーは千夜千冊のサイトの真似だった(いまはもうないけど)。新刊に手が出せず、古本で見つけた『情報の歴史』は、本棚の一番取りやすい位置においてあり、たまに眺める。年表を編集することが表現であり、作品であることを見るたびに思う。◆8/26
先週末、佐渡旅行へ行った。新潟までは久しぶりに飛行機で移動した。これまで何回も乗ってはいるが、いつも誰かと一緒だった。預けた荷物をだれかに持って行かれたこともあった。高いし面倒だなと思って、避けていたかもしれない。旅行といえば電車で行くという発想になっていたが、佐渡は電車のほうが面倒だった。チケットはネットで予約して、QRコードを控える。荷物は持ち込める分量にしぼった。出発20分前までに保安検査のところでタッチして、あとは搭乗口に行くだけで簡単だった。帰りは予定がくるって、空港に着くのが遅れてしまった。なかば諦めながら出発の13分前に着いて、ダッシュで保安検査に行ったらパスできて無事に帰ってこれた。飛行機移動の苦手意識がなくなったような気がする。◆10/20
あるノンフィクション作家のWikipediaページを見ていたら、著作リストの更新がとまっているのに気づいた。なぜか追記しなくては、と思った。だれでも編集できるというのは知っていたものの、実際にやってみたことはなかった。まずはアカウントをつくるところから。編集のガイドラインをちらっと読んで、編集画面に入る。手元にある本の奥付で発行された年と月を確認して、著作3冊と文庫化1冊分の情報を書いていく。更新するとすぐに反映され、おもいのほか簡単に終わった。これだけ簡単にできると、読むときには気をつけないとなと思った。とはいえ、ページを立てた人、書いている人のおかげでかなり恩恵をうけていることもたしか。著作リストなど気づいたときには書いてみたい。あと編集後のページビューがわかるようになっていて、それもおもしろい。◆11/30
読書関連で個人的に今年の大きな出来事として、ノンフィクション書評サイトHONZの終了があった。発足当時から見ていて、このサイトで知って買った本は数知れず。目利きかつ熱のこもった書評がある情報源で、ほんとうにありがたいものだった。◆しかしHONZなきいま、どうしたらいいのだろう。とりあえず自分で気になるものを発信してみよう。mixi2が発表されたときにそのことを思い出し、「ノンフィクション読書部屋」というコミュニティをつくってみた。どんな感じにやるのがいいのか考え中。興味があればぜひ。◆12/27