半年ごとに書いているベスト10。今回もフィクションから5冊、ノンフィクションから5冊を選んでみた。フィクションのかたより方がひどいが、こればかりはしかたがない。早川SF強し。
フィクション
テッド・チャン『息吹』(訳/大森望 早川書房)
『あなたの人生の物語』から17年、待望の作品集が翻訳された。読む前の期待値は高すぎるくらいだったが、悠々と超えていった。9編すべてが素晴らしく、前作と並んでオールタイムベスト級。世界をまるごと創造し、驚くべき光景を目の前に表す。あるいは、地続きの世界に設定をもちこんで考え方を揺さぶる。設定のうまさ、作品のメッセージ性、語り口、どこをとっても傑作。
続きを読む