最近、「有名」がわからない。自分が有名だと思ったものでも、周りは知らないことが普通にあり、同じくらいその逆もある。SNS以降だろうか、きっと違うクラスターにいるってことなんだろう。同じ本を読んでる人にもめったに会わない。だからこそ、出会ったときはうれしいけど。みんなで昨日見たテレビの話をしていた頃が懐かしい。
その点、ネットは便利だ。SNSとかパーソナライズのおかげで、好きなものを簡単に見れるようになった。YouTubeやAmazonのレコメンドでおもしろいものを見つけることもよくある。その意味で、パーソナライズはいいことだ。
一方、社会的な問題もある。キャス・サンスティーン『#リパブリック——インターネットは民主主義になにをもたらすのか』(勁草書房)では「エコーチャンバー」という言葉を使って、その問題を指摘している。エコーチャンバー(共鳴室)とは、自分と好みや主張が似た人とだけつながって、実質、自分の声の共鳴を聞いているような状態のことだ。