2018年の上半期を振り返り、読んだ本からベスト10を選んでみた。フィクションとノンフィクションの2つに分けて、それぞれ5冊ずつ。
フィクション
樋口恭介『構造素子』
リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』
2018年の上半期を振り返り、読んだ本からベスト10を選んでみた。フィクションとノンフィクションの2つに分けて、それぞれ5冊ずつ。
著者は数学者であり、また、「ロボットは東大に入れるか」を検証したいわゆる「東ロボくん」のプロジェクトディレクタでもある。本の前半では、このプロジェクトを解説するとともに、現在のAIの実力を示していく。現状では、東大の合格まではいかないが、MARCHレベルは合格圏内である。ここから、人間のすべての仕事がすぐになくなるということはないが、強力なライバルであるという見解を示す。
研究者のノンフィクションを2冊読んだ。どちらもフィールドワークという共通点があるが、ひとつは現代、もうひとつは19世紀が舞台となる。冒険や自然との格闘、時代ごとの研究の背景など、並べて考えてみるのもおもしろい。
バッタ研究者の自伝的な活動の記録。まえがきからして、著者のバッタ愛がすさまじい。書き出しはこんな風。
100万人の群衆の中から、この本の著者を簡単に見つける方法がある。まずは、空が真っ黒になるほどのバッタの大軍を、人々に向けて飛ばしていただきたい。人々はさぞかし血相を変えて逃げ出すことだろう。その狂乱の中、逃げ惑う人々の反対方向へと一人駆けていく、やけに興奮している全身緑色の男が著者である。
高校までの歴史の授業が苦手だった。なんとなく、つかみづらい。いまから振り返ると、その原因は授業の内容が政治史を重視で、その政治にあまり興味がもてなかったということが大きい。
歴史は、政治以外のさまざまなものからも語ることができる。たとえば、話題になったハラリの『サピエンス全史』は、「虚構」を軸にしてサピエンスの歴史をとらえるという試みだった。もちろん、国家という虚構がもたらした政治への影響、みたいなかたちで政治にも触れているが。
そもそも歴史における重要な出来事とはなんだろう。それは、さまざまなものの個別の歴史における転換点だと思う。そういう意味で、影響範囲が広い政治史は重要だが、その重要性を理解するには政治史以外の歴史を参照する必要がある。なにか興味あるものの歴史をさかのぼってみて、教科書的な歴史との相似関係を見つけていくというような。
最近読んだ本で『トラクターの世界史』はまさにそういう本だった。
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