遠くで手をふる小さなおとうさんは、他人みたいだった。
私は、あそこに立っている、いつまでもばかみたいに手をふり続けている男の人が大好きだと思った。
遠くで手をふる小さなおとうさんは、他人みたいだった。
私は、あそこに立っている、いつまでもばかみたいに手をふり続けている男の人が大好きだと思った。
最近は自宅で過ごす時間が多い。わりと普段からインドアではあるが、よく行っていた本屋が閉まっていたりすると途端に不自由になった気がする。いつも本屋に助けられているなぁと思う。
こういうときは本棚をながめて、気になった本の再読をはじめる。自然と読み方も変わってくる。前に読んだときに感想を残していればもっとおもしろかったのに、と悔やむなど。というわけで、2冊ほど書いておきたい。
都市というのは、人と企業の間に物理的な距離がないということだ。近接性、密度、身近さだ。都市は人々が一緒に働き遊べるようにするし、その成功は物理的なつながりの需要に依存する。(p.8)
この本の主張はタイトルが示すとおりで、都市のすばらしさを書いている。
続きを読む将棋を見るのが好きなので、自然と関連する本に手がのびる。読書が趣味だと、別の趣味とすぐリンクするのがいい。というわけで、将棋のノンフィクションを立て続けに2冊読んだ。とても良い体験だったのでそのことを書いてみる。
本を読んでいると、棋士たちの魅力が随所にみつかる。将棋というゲームを楽しみつつ、棋士を追いかけるのもおもしろいかもしれない。将棋のルールを知らなくても楽しめると思う。
著者は初代竜王となった現役の棋士。羽生善治を代表とする強豪ぞろいの年齢層、いわゆる羽生世代より少し上の世代にあたる。この本は伝記と自伝がミックスされたような内容。
メインとなるのは、将棋界を席巻していく羽生世代の棋士たちの日々。著者の落ち着いた筆致のなかに新しい才能への驚きと尊敬がうかがえ、いまここにしかない美しいものを書き留めておこうという意志を感じる。
続きを読む言葉じゃなくて数字で示せ、とか、定量的な説明を、とか言われがちな昨今。数値にするとたしかにわかりやすい。ドラゴンボールのスカウターしかり、 PSYCHO-PASSしかり。
将棋のネット中継が好きでよく見るのだけど、ソフトの評価値が画面にでていると初心者でも見やすい。あくまで暫定的な評価ではあるが、どちらが優勢なのかをざっくりと知ることができる。元々見ていた人の評判はどうかわからないが、将棋ファンの間口を広げるきっかけになっていると思う。
ものごとを数字で示すという考え方が隆盛してきたのは、13~16世紀の西ヨーロッパ。アルフレッド・W・クロスビー『数量化革命』は、数量化によって世界観が更新されるさまを描き出す。西欧の繁栄の背景として数量化と視覚化があり、科学革命を準備したという。