『マネー・ボール』を書いたマイケル・ルイスの新刊がでた。それが行動経済学の源流となった二人の心理学者の物語となれば読んでみたい。と思いつつ、なんでそのテーマ?とも思った。なぜなら、マイケル・ルイスの主戦場は、『世紀の空売り』や『フラッシュ・ボーイズ』といった金融市場のノンフィクションというイメージがあったからだ。
その答えは序章にある。はじまりは『マネー・ボール』に寄せられた書評(*1)だった。『マネー・ボール』のストーリーは、メジャーリーグで採用されていた戦略の不合理性をデータによって塗り替えていくというものだった。そのような不合理性は二人の心理学者によってすでに研究されているというのが、書評の指摘だった。二人の心理学者というのは、ほかでもなく本書の主人公エイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンである。
続きを読む